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理事長挨拶

「まちを編集する」 コーディネーターからエディターへ

米谷 啓和財団法人まちづくり市民財団 理事長
米谷 啓和(こめたにひろかず)

 わたしの前職は、書籍の編集者であった。京都に本社を置くPHP研究所という、松下幸之助さんがつくった理念先行の出版社の東京事務所にいた。5年足らずの在籍で約100 冊のビジネス書と文庫本を企画・制作した。いまでも再版されて書店の本棚に並んでいるものもある。もう20 年近く前の話である。

 

 コーディネートという言葉が、すでにあるさまざまな要素を対等にまとめたり調整することであるのに対し、エディットという言葉は、企画を立て、素材を集め、編集・発行するという、いわば無から有を生み出す仕事である。無から、と言うのが言い過ぎであるなら、そのままの状態では無価値であるものたちにテーマと秩序を与え、価値のあるかたちにまとめて世に出すと言えばいいだろうか。

 

 そして最近になって、まちづくりの仕事はよく言われるコーディネーターではなく、エディター的なものであることに気がついてきた。

 この小冊子を読む人は、人生に占める大小を問わず、なんらかのかたちでまちづくりという終わることのない営みにたずさわっていることと思う。そしてそれを生活のおもなたつきとしている人は少ないだろう。まただれかから頼まれてやっているという人もあまりいないはずである。

 

 それでもなぜまちづくりをするのか。

 行政など既成の手法以外で希望の社会を紡ぐおこないを「まちづくり」と呼ぶとするなら、まちづくりをしようとする人の、そのおこないの潜在的な動機がとても大切だ。

 

 自分はなぜまちづくりにかかわろうとするのか......それをまっすぐに見つめることのできている人は、勁つよい。周りに人も集まってくるし、お金も多寡にかかわらず回る。そのいっぽうで、仲間うちの活動や孤軍奮闘に見える活動も多い。成長期に得られなかった自己肯定感を埋め合わせするためにたまたままちづくりにかかわっているとしたら、そこから生まれてくる動きは独りよがりな、場合によってはずいぶん迷惑な行為となる。

 

 「NPO って世のため人のためというより、やってることが面白い、やってる人とのつながりが楽しい、のが最大の報酬」と言ったのは上野千鶴子さんだが、このつながりを紡ぐという作業こそがまちづくりの核心であり、喜びの源泉である。

 その意味では、わたしはいまだに、紙と鉛筆をまちとつながりに持ち替えて世の中の編集作業をやり続けているようなものである。
 まちづくり市民財団も、各地のそういうまちづくり人を応援していける団体でありたい。

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